JA埼玉みずほ

金融機関コード 4859

法律相談

「市街化調整区域の農地を貸したい|貸し借りは農業委員会の許可が必要」

質問

 離れて暮らす父が亡くなり、市街化を抑制すべき区域とされる「市街化調整区域」の農地を相続しました。離れた場所にあるなどの理由もあって、自分では耕作できないので、他人に貸そうと思っています。有料にしようか無料にしようか迷っているのですが、それによって農地法の規制に違いはあるものでしょうか。許可など必要な手続きや留意した方がよい点などがあれば、教えてください。もし、農地を返してほしくなったときは、返してもらえるのでしょうか?

回答

 農地を貸し借りするときは、原則として農業委員会の許可が必要です(農地法3条)。この点は、有料(賃貸借)でも無料(使用貸借)でも同じです。

 しかし、貸し借りの終了や借主が死亡した場合は、賃貸借と使用貸借で違いがあります。

 賃貸借では、原則として、都道府県知事の許可を受けなければ、契約の解除、解約の申入れ、合意による解約、更新しない旨の通知ができません(農地法18条)。契約期間の定めがあるときは、期間が終わる前の一定の時期に更新しない旨の通知をしなければ、同じ条件で賃貸借したとみなされます(法定更新。農地法17条)。借主が死亡したときは、賃借権は借主の相続人に引き継がれます。

 他方、使用貸借では、契約の解除、解約の申入れ、合意による解約について都道府県知事の許可は不要です。法定更新の制度はないので、更新しない旨の通知は不要です。契約期間の定めがあるときは、期間が終われば借主は農地を返さなければなりません(民法597条1項)。借主が死亡したときは、使用借権は借主の相続人に引き継がれずに使用貸借を終えるのが原則です(民法597条3項)。よりスムーズに返してもらいたいときは,無料(使用貸借)で貸す方がいいでしょう。

「他人の土地でも下水管を通せる? |ライフラインは設置可能な場合も」

質問

 私Aの自宅の敷地である土地は、Bの土地から分筆されました。A地は、公道に面していないので、B地の端の通路を通って公道へ出ています。私は、来年、自宅の建て替えを予定しています。これを機に、下水管を引き込みたいと考えています。A地は,公道に面していないのでB地の通路部分に下水管を設置させてもらわなければならないようです。私は、B地の通路部分に下水管を設置させてもらうことはできますか。

回答

 分割により公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため他の分割者の所有地のみ通行できます(民法213条)。他人の土地を使わなければライフラインの引き込みができない土地の所有者は、他人の土地への設備の設置なども許されると解釈されています。これまでは、明文上の規定がなく応じてもらえない場合の対応に困ることもありました。

 そこで民法が改正され、他の土地に設備を設置しなければ電気、ガス、水道水の供給などを継続的に受けることができない土地の所有者は、必要な範囲で、他の土地に設備を設置する権利を有することが明文化されました(新民法213条の2第1項)。他人の土地に設備を設置したい土地の所有者は、当該土地の所有者に、あらかじめ、目的、場所、方法を通知する必要があります(新民法213条の2第3項)。

 改正民法の施行日は令和5年4月1日ですが、解釈でも認められているため、Bに対して、乙土地に下水管を設置することについて、目的、場所などの通知から始めるといいでしょう。なお、土地の分割によって生じた袋地ではない場合は、償金の問題が生じることがあります。

(弁護士 長島佑享)